【年収・月収別】フリーランスエンジニアの手取り額!計算方法も紹介

「フリーランスエンジニアの手取りはどのくらいなんだろう?」
「会社員とフリーランスで手取りはどれくらい変わるの?」

フリーランスに独立したい気持ちはあるものの、気になるのは手取り額。税金や保険料が多く引かれ、今より収入が減るのではないかと不安な人は多いですよね。

そこで、今回は会社員と比較しつつ、年収・月収別にフリーランスエンジニアの手取り額を解説します。

手取り額の計算方法や収入を増やす方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

フリーランスエンジニアの手取り額は会社員よりも高い

結論、会社員に比べフリーランスエンジニアの手取り額は高くなる傾向にあります。

下記に、ITエンジニアエージェント複数社と経済産業省が公開するデータから会社員とフリーランスエンジニアそれぞれの手取り額をまとめました。

平均手取り額
フリーランス 約600万円
会社員 約420万円

参考:IT関連産業の給与等に関する実態調査結果 平成29年8月21日 経済産業省PE-BANKMidworksレバテックフリーランス

フリーランスエンジニアは会社員と比べ、経費や控除を活用することで、手取り額を増やせます。

経費や控除を年収から引くと課税所得額が減るため、税率も低くなり支払う税金も少なく済みます。フリーランスエンジニアの経費として代表されるものが家賃です。

同じ年収で家賃を控除した場合の違いを次の計算式で紹介しています。

収入300万円、家賃を120万円(10万円×12ヶ月)とした場合

フリーランスエンジニア

  • 300万円ー120万円(10万円×12ヶ月)=課税所得180万円
  • 180万円ー18万円(累進課税10%)=162万円

会社員エンジニア

  • 300万円ー30万円(累進課税10%)=270万円
  • 270万円ー120万円(10万円×12ヶ月)=150万円

この例では同じ年収でも手取り額に12万円の差が現れました。

会社員は年収に対して課税されますが、フリーランスエンジニアは年収から家賃を引いた額に課税されます。そのためフリーランスは課税所得額が低くなり、最終的な可処分所得も多くなるでしょう。

このように、経費や控除を活用し課税所得額を減らすことで会社員よりも手取りを多くできます。

ただし、フリーランスは保険料の全額負担や、扶養家族の保険料も支払う必要があります。そのため、会社員よりも手取りが少なくなる場合もあるでしょう。

フリーランスエンジニアの手取り計算方法

フリーランスエンジニアの手取り額は、次の手順で計算できます。

手取り=年収ー経費ー税金ー年金・保険

  1. 年収から経費を差し引き「課税所得」を算出する
  2. 課税所得にかかる税金(所得税、住民税)を計算する
  3. 課税所得にかかる年金、保険料(国民年金、国民保険)を計算する
  4. 課税所得から税金、年金、保険料を差し引く

フリーランスエンジニアの年収は売上でもあるため、必要経費を差し引き、課税所得を求めます。その後、課税所得にかかる税金と保険額を求め、引き算するだけです。

上記の手順をもとに、年収500万円、経費100万円のフリーランスエンジニアが得られる手取り額を計算してみましょう。

  1. 500万円-100万円=400万円(課税所得)
  2. 400万円の所得税13万6,500円・住民税24万4,000円
  3. 400万円の国民年金19万9,080円・国民健康保険33万0,800円
  4. 400万円ー13万6,500円ー24万4,000円ー19万9,080円ー33万0,800円=308万9,620円

計算の結果、年収500万円のフリーランスエンジニアは約300万円の手取り額だとわかります。

ただし、個人で加入している生命保険の控除額や住んでいる地域の住民税によって変動するため、上記計算はあくまで目安として考えておくと良いでしょう。

【年収別】フリーランスエンジニアの手取り額

ここからは、次の年収別にフリーランスエンジニアの手取り額を紹介します。

課税所得額や税率の違いなどに注目しながら、それぞれの手取り額を参考にしてみてください。

年収300万円の手取り額

年収300万円のフリーランスエンジニアの手取りはおおよそ240万円、年間でならすと約月20万円です。

次の表に、年収から引かれる税金をまとめました。

項目 金額
所得税 7万1,700円
住民税 15万3,400円
国民年金 19万9,080円
国民健康保険 23万6,400円

所得税は最低課税率ではあるものの、全額負担しなければいけない国民年金と国民健康保険が負担となります。少しでも手取りを増やしたい場合は住民税の安い地域に住んだり、固定費を抑えたりすると良いでしょう。

年収500万円の手取り額

年収500万円のフリーランスエンジニアの手取りはおおよそ380万円、年間でならすと約月32万円です。

下表に、年収から引かれる税金をまとめました。

項目 金額
所得税 22万7,000円
住民税 33万4,500円
国民年金 19万9,080円
国民健康保険 42万5,200円

年収500万円のフリーランスエンジニアは、年収と手取りの差額が120万円となり、年収300万円で計算した差額よりも60万円も多くなります。そのため、経費や控除を活用してなるべく手取りを多くしていくと良いでしょう。

年収700万円の手取り額

年収700万円のフリーランスエンジニアの手取りはおおよそ500万円、年間でならすと約月42万円です。

次の表に、年収から引かれる税金をまとめました。

項目 金額
所得税 58万3,700円
住民税 51万5,600円
国民年金 19万9,080円
国民健康保険 61万4,000円

700万円の年収を得ると、税率は高くなるため、うまく経費や控除を活用し可能な限り引かれる税額を減らせるかが重要です。控除の対象となる個人保険や個人年金を活用すると良いでしょう。

控除については、以降の見出しで詳しく紹介しているので、よければ参考にしてください。

年収1,000万円の手取り額

年収1,000万円のフリーランスエンジニアの手取りはおおよそ700万円、年間でならすと約月58万円です。

下表に、年収から引かれる税金をまとめました。

項目 金額
所得税 1,16万2,600円
住民税 79万2,000円
国民年金 19万9,080円
国民健康保険 85万0,000円

年収1,000万円はフリーランスエンジニアとしてもかなり高額な収入です。

所得税率は900万円超から33%、900万円以下は23%となるため、課税所得を900万円以下に抑えると所得税を減額できます。

年収1,500万円の手取り額

年収1,500万円のフリーランスエンジニアの手取りはおおよそ1,000万円、年間でならすと約月84万円です。

次の表に、年収から引かれる税金をまとめました。

項目 金額
所得税 ​​2,69万4,600円
住民税 1,29万2,000円
国民年金 19万9,080円
国民健康保険 85万0,000円

手取りで1,000万円を超えるには、1,500万円ほどの年収が目安となります。

年収が1,500万円ともなると引かれる税金は高額。所得税と住民税の合計額だけでも約420万円になります。安定して年収1500万円を超える場合は法人成りも検討しておくと良いでしょう。

【月収別】フリーランスエンジニアの手取り金額

続いては、月収別にフリーランスエンジニアの手取り額を紹介します。

フリーランスエンジニアとしての業務を月単位で検討している方や、その他のWebスキルと掛け持ちでエンジニア業務を検討している方はぜひ参考にしてください。

月収30万円の手取り額

月収30万円のフリーランスエンジニアの手取りはおおよそ23万円です。

次の表に、月収から引かれる税金をまとめました。

項目 金額
所得税 約8,350円
住民税 約1万7,300円
国民年金 約1万6,600円
国民健康保険 約2万4,400円

手取り額としては会社員エンジニアと同等の金額です。所得税は低いものの、国民年金と国民健康保険の全額負担が重くのしかかってきます。

なるべく控除を活用して所得税と住民税を減らし、手取りを増やすと良いでしょう。

月収50万円の手取り額

月収50万円のフリーランスエンジニアの手取りはおおよそ37万円です。

次の表に、月収から引かれる税金をまとめました。

項目 金額
所得税 約3万3,500円
住民税 約3万5,400円
国民年金 約1万6,600円
国民健康保険 約4万3,300円

国民年金は一律で1万6,600円のため、収入に比例して負担は小さくなります。一方で、月収50万円は年収換算で600万円となるため、所得税・住民税が高額です。

月収と手取りの差額が13万円となり、税金が高いと感じる人も多いでしょう。なるべく経費を活用して課税所得を抑えたいです。

月収70万円の手取り額

月収70万円のフリーランスエンジニアの手取りはおおよそ50万円です。

次の表に、月収から引かれる税金をまとめました。

項目 金額
所得税 約6万9,700円
住民税 約5万3,500円
国民年金 約1万6,600円
国民健康保険 約6万2,200円

年収換算で840万円とフリーランスエンジニアの中でも高所得になります。

所得税率は330万円〜695万円が20%、695万円〜900万円が23%と大きく変わりません。フリーランスは所得税率が大きく変わらない価格帯を押さえておくと良いでしょう。

月収100万円の手取り額

次の表に、月収から引かれる税金をまとめました。

項目 金額
所得税 約9万6,900円
住民税 約6万6,000円
国民年金 約1万6,600円
国民健康保険 約6万2,200円

年収換算で1,200万円と一般的に見てもかなりの高所得です。税金も所得税と住民税で約17%を占めるほど、高額になります。

青色申告や経費を活用して節税を行っていきたいですね。

フリーランスエンジニアの収入から引かれる主な税金・保険

ここからは、フリーランスエンジニアの収入から引かれる主な税金・保険を紹介します。

支払う金額は所得によって変動するため、それぞれの特徴を押さえておくことでフリーランスエンジニアの手取りも具体的にイメージできるでしょう。

4種類の税金

フリーランスエンジニアの収入から引かれる主な税金は、次の4種類です。

  • 住民税
  • 所得税
  • 個人事業税
  • 消費税

住民税と所得税は会社員、フリーランス、派遣社員といった雇用形態に関わらず支払う必要があります。

2つの税金の特徴として、住んでいる地域や課税所得額によって変動するという点です。

それぞれの税率を次の表にまとめました。

住民税

地域 所得割 均等割(市民税+県民税)
神奈川県横浜市 10% 6,200円
東京都 約6万6,000円 5,000円

所得税

所得額 税率 控除額
1,000円~194万円9,000円 5% 0円
195万円~329万9,000円 10% 9万7,500円
330万円~694万9,000円 20% 42万7,500円
695万円~899万9,000円 23% 63万6,000円
900万円~1,799万9,000円 33% 153万6,000円
1,800万円~3,999万9,000円 40% 279万6,000円
4,000万円以上 45% 479万6,000円

住民税と所得税を抑えるためには経費や控除を活用して、課税所得額を抑えるといいでしょう。

また、フリーランスエンジニアであれば個人事業税も知っておきたいです。

個人事業税とは、事業を起こしていることに対して住んでいる都道府県へ支払う税金であり、年間290万円以上の所得から課せられる、業種によって3〜5%と税率が異なるという2つの特徴があります。

フリーランスエンジニアは「請負業」にあたるため第1種事業の5%が個人事業税として課せられます。

しかし、個人事業税は業務内容によっては納める必要がないケースもあるため、わからない場合はスポットで税理士に相談すると良いでしょう。

消費税は、報酬として振り込まれた金額のうち、該当する消費税分をフリーランスエンジニア側が納めます。請求書を作成する際に、クライアント企業へ内税か外税か確認する点を覚えておくといいでしょう。

ただし、年間の売上が1,000万円以下である、開業して2年以内である場合は、消費税を収める必要はありません。

なお、次の記事ではフリーランスエンジニアが納める税金の種類を、負担額の計算方法も交え詳しく解説しているのでよければ参考にしてください。

フリーランスエンジニアの税金はどれくらい?計算方法や節税のコツも紹介

2種類の保険

2種類の保険は以下の通りです。

  • 国民健康保険
  • 国民年金の保険料

国民健康保険は他の健康保険や後期高齢者医療制度に加入していない人を対象とした保険制度です。

会社員とフリーランスの健康保険の違いを以下にまとめました。

項目 フリーランス 会社員
名称 国民健康保険 健康保険
保険者 市町村区 勤務先
保険料負担 全額負担 半額負担

会社員からフリーランスになった人が国民健康保険へ加入する場合は、退職した翌日から14日以内にお住まいの役所へ申請する必要があります。保険料は住んでいる地域ごとに異なるため、確認しておくと良いでしょう。

また、フリーランスは国民年金の保険料も収める必要があります。

会社員は国民年金と厚生年金の2つを納めますがフリーランスは片方のみです。そのため会社員と比べて年金受給額が減るということを理解しておきましょう。

一方で、フリーランスは国民年金の保険料を控除できるというメリットもあります。

なお、下の記事ではフリーランスエンジニアが加入可能な保険を、選び方も交え詳しく紹介しているのであわせて参考にしてください。

フリーランスエンジニアが加入可能な保険4選!選び方も紹介

フリーランスエンジニアが手取りを増やす5つの方法

もちろん、フリーランスに独立すれば、会社員時代よりも手取りが増えるとは限りません。

そこで、ここからはフリーランスエンジニアが手取りを増やす5つの方法を紹介します。

経費と控除を活用して節税する

経費は事業を行うにあたって必要な支出のことです。フリーランスエンジニアの場合、電気代や家賃、パソコン代などを経費として計上することで課税所得額を少なくできます。

ただし、日常生活でも使用するものは、仕事で使われている割合のみ経費となり、全額計上はできません。例えば、仕事場として使用している部屋の面積が全体の4分の1の場合、家賃を4分の1で割った金額が経費となります。

またパソコンやカメラ、車など10万円を超える高額なものは資産に分類され、決められた耐用年数をかけて減価償却していく点も押さえておきましょう。

控除は年金や保険料を年収から引くことをいいます。売上から経費を差し引いた金額を利益とし、利益から年金や保険料を差し引いた(控除した)ものが課税所得です。

そのため年金や保険料を控除することで課税所得を抑え、節税できます。

新しいプログラミング言語を覚える

フリーランスエンジニアが手取りを増やすには、新しいプログラミング言語を覚えるのも有効です。

需要の多いプログラミング言語やリソースが不足している言語を覚えることで、案件獲得数の増加にも繋がり、結果として手取りも増えるでしょう。

プログラミング言語別でみたフリーランスエンジニアの単価は以下の通りです。

言語 平均単価
SQL 66万円
Java 69万円
CSS 70万円
PHP 72万円
JavaScript 72万円
HTML5 72万円
CSS3 74万円
Python 76万円
Ruby 80万円

参照:単価相場を比較

なお、経験年数やプロジェクトの規模によって単価は変動するため、上記は目安と考えておくと良いでしょう。

プログラミング以外のスキルを活かす

プログラミング以外のスキルを活かすことでもフリーランスエンジニアの手取りを増やすことができます。

例えば、要件定義や機能定義、構成管理などの上流工程まで担えるスキルを身に着けたり、外国語や士業系の資格・知識を活かしてエンジニアのスキルのみでは請け負うことのできない領域を担当したりというのがあります。

コーディングのみでは単価も上がりづらく、手取りを増やすことは難しいでしょう。手取りを増やしたい場合は、エンジニアのスキルや知識以外で自身の得意な領域をかけ合わせるのもおすすめです。

営業力を磨く

フリーランスエンジニアが手取りを増やすためには営業力を磨くことも大事です。フリーランスエンジニアは他社との競争であるため、どれだけスキルが高くても営業力が低くては案件獲得が難しくなります。

フリーランスエンジニアが営業力を磨くためには、ポートフォリオを営業先へ見やすく掲載したり、自身の経歴や得意なことをわかりやすく記載すると良いでしょう。その他、営業が得意な人へ外注するのもおすすめです。

新規の取引先を増やす

新規の取引先を増やすこともフリーランスエンジニアの手取りを増やす方法として有効です。

単一のクライアント企業のみと業務提携しているだけでは、単価を上げるしか手取りを増やす方法がありません。単価を上げるには他の領域を担当したり、品質を高めたりとスキルアップが欠かせないでしょう。

一方で新規の取引先を増やせば、現状のスキルのままでも収入アップに繋げられます。

無料で登録できるクラウドソーシングやITエンジニア向けのフリーランスエージェントを利用して新規の取引先を増やすと良いでしょう。

とはいえ、新規の取引先を増やす方法がわからなかったり、既存のエンジニア向けエージェントでは案件を獲得しづらいという悩みはフリーランスによくある話です。

フリーランスの経験が浅く、自分1人で新規の取引先を増やせるか不安な人も多いのではないでしょうか。

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出典:フリーランスのミカタ

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フリーランスのミカタの評判やメリット・デメリットを詳しく知りたい方は下記記事も参考にしてみると良いでしょう。

フリーランスのミカタとは?利用するメリットやデメリット、口コミも紹介

まとめ

今回はフリーランスエンジニアの手取りについて解説しました。

結論として、フリーランスエンジニアは経費や控除を活用することで会社員よりも手取りを増やすことができます。

しかし、収入が低いと手取りを増やすことは難しくなるため、スキルアップを図り収入を上げることが最も重要と言えます。