フリーランスエンジニアが経費にできるものは少ない?計上できない費用とは

「フリーランスエンジニアが経費にできるものは少ないって噂は本当?」
「どんな支出を経費として計上できるんだろう?」

どれだけ費用を経費として計上できるかは、フリーランスエンジニアにとって支払う税金額を左右する重要なポイントです。

ただ「フリーランスが経費として計上できるものは少ない」といった噂を耳にすると、独立に不安を抱く人もいますよね。

そこで、今回はフリーランスエンジニアの経費が少ないと言われる理由を、計上可能な経費率も交えて紹介します。フリーランスが経費として計上できる費用や、できない支出も紹介するのでぜひ参考にしてください。

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フリーランスエンジニアは収入の約50%を経費にできる


フリーランスエンジニアは、収入の約50%を経費として計上できます。

収入に対する経費の割合を経費率といい「(経費÷収入)×100」の計算式で算出可能です。経費率が低いほど課税対象となる所得が大きくなるため、税金を多く支払わなければいけません

フリーランスエンジニアは経費率が約50%であり、これは他の業種よりも低い傾向にあります。業種別の経費率はおよそ次の通りです。

業種 経費率
卸売 約90%
小売 約80%
製造 約70%
飲食 約60%
その他の事業 約60%
サービス 約50%

上記の通り、フリーランスエンジニアは他の業種よりも経費率が低いため、課税所得が大きくなりやすく、税金を多く支払う場合が多いです。

ただし、上記の経費率はあくまで推測であり公的機関が公表しているデータではありません。そのため、経費率は大きくなったり小さくなったりすることもあります。

例えば、下請けのエンジニアやコーダーに利益を多く分配すると人件費率が高くなるため経費率も大きくなるでしょう。

とはいえ、一般的なフリーランスエンジニアであれば経費は収入の約50%だと考えて良いでしょう。

フリーランスエンジニアの経費が少ないといわれる理由

フリーランスエンジニアの経費が少ないと言われる主な理由は次の2点です。

  • 原価がかからない
  • 経費が少ない職業として認識されている

業種別の経費率のデータからもみてわかるとおり、仕入れ費や場所・事務所代、人件費など様々な経費が必要な業種は経費率も大きくなります。

業種 経費率
卸売 約90%
小売 約80%
製造 約70%
飲食 約60%
その他の事業 約60%
サービス 約50%

しかし、フリーランスエンジニアは仕事をして収入を得るにあたって、上記のようなコストは必要ありません。極論、パソコンとインターネット環境のみで仕事ができます。

このような状況がフリーランスエンジニアの経費は少ないと言われる理由の1つです。また、フリーランスエンジニアは経費が少ないという認識が、広く知れ渡っている点も影響しています。

次の表は国税庁による申告漏れ所得金額が多い業種順位です。

順位 業種
1 経営コンサルタント
2 システムエンジニア
3 ブリーダー
4 商工業デザイナー
5 不動産代理仲介
6 外構工事
7 型枠工事
8 機械部品受託加工
9 一般貨物自動車運送
10 司法書士、行政書士

引用:令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況

上記の通り、システムエンジニアは申告漏れ所得金額が大きい業種として2位にランクインしています。経費にできるものが少ないため、所得を申告しないケースが多いと言うことでもあります。

このような理由からフリーランスエンジニアの経費が少ないと言われるのでしょう。

フリーランスエンジニアが経費にできる12の費用

ここまで、フリーランスエンジニアの経費が少ないといわれる理由を解説しました。ただ、実のところフリーランスエンジニアは様々な費用を経費として計上できます。

経費にできる費用を把握することで、課税所得を減らし手取りを増やすのが可能です。

そこで、ここからはフリーランスエンジニアが経費にできる12の費用を紹介します。

家賃

家賃は、フリーランスエンジニアが経費として計上できる費用の1つです。事務所を借りている場合は事務所代が、自宅で仕事をしている場合は自宅の家賃が経費となります。

ただし、家賃全額が経費となるのではなく、仕事で使用している割合を按分(あんぶん)した金額のみです。この費用は自宅の面積に対する仕事で使用している面積の割合を家賃に適用して求めます。

次に例をあげています。

  • 家賃10万円、面積30㎡
  • 仕事で使用している部屋の面積10㎡
  • 30÷10=約30%
  • 10万円×30%=3万円
  • 経費として計上できる金額=3万円

自宅がワンルームの場合は、仕事で使用している時間で按分することも可能です。

なお、白色申告の場合は仕事で使用している割合が50%以上でなければ経費として認められないため注意が必要です。

PC機器

フリーランスエンジニアは、仕事で使用するPC機器の費用も経費として計上できます。なお、PCを経費計上する上では次のルールが設けられています。

  • 10万円未満もしくは試用期間が1年未満のものは全額経費計上できる
  • 10万円以上のものは資産といなされるため4年間掛けて減価償却する

参照:主な減価償却資産の耐用年数表減価償却のあらまし

また、パソコンが10万円以上20万円未満のパソコンは「一括償却資産」となり、3年間かけて償却できます。青色申告であれば「一括償却資産」は30万円まで申請可能です。

減価償却費

PC機器以外の減価償却費も経費計上できます。一般的に10万円以上のものが減価償却の対象となります。フリーランスエンジニアが減価償却できるものは次のとおりです。

  • 持ち家の購入費
  • 車の購入費

毎月返済しているローンは経費とはなりません。ただし、ローソンの利息分は経費となります。持ち家の耐用年数は次の表のとおり、構造ごとに異なります。

構造 耐用年数
木造・合成樹脂造のもの 22年
木骨モルタル造のもの 20年
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のもの 47年
れんが造・石造・ブロック造のもの 38年
金属造のもの 19~34年

引用:耐用年数(建物/建物附属設備)

車の耐用年数は次のとおりです。

種類 耐用年数
普通自動車 6年
軽自動車 4年

引用:主な減価償却資産の耐用年数表

上記は新車の場合のみ適用されます。中古車の場合は次のとおりです。

種別 概要
1 法定耐用年数の全部を経過した資産 その法定耐用年数の20パーセントに相当する年数
2 法定耐用年数の一部を経過した資産 その法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20パーセントに相当する年数を加えた年数

引用:中古資産の耐用年数

住宅や車の減価償却は複雑なため、不安な方は税理士に相談すると良いでしょう。

ネット費用

ネット費用は経費として計上可能です。プライベートでも使用している場合は、次の例の通り仕事で使用している時間や日数で按分する必要があります。

  • ネット費用月20,000円
  • 仕事で5時間、プライベートで5時間使用している場合
  • 20,000円×50%=10,000円
  • 10,000円が経費になる

その他、ネット環境を整えるための工事費用や端末代なども按分して経費計上可能です。

電気代

電気代もネット費用と同様に、仕事で使用している割合のみ経費計上できます。電気代を按分する方法は次の2通りです。

  • 使用日数または時間で按分する
  • 仕事で使用しているコンセント差し込み口の数で按分する

コンセント差し込み口の数で按分する場合は次のとおりです。

  • 月の電気代が10,000円
  • 家のコンセントが10口、仕事で使用しているコンセントが4口
  • 10,000円×40%=4,000円
  • 4,000円が経費となる

広告宣伝費

広告宣伝費は経費として計上できます。広告宣伝費には次のものが該当します。

  • 新聞、雑誌、ラジオ、テレビなどの広告費用、チラシ、折込み広告の費用
  • 広告用名入りライター、カレンダー、うちわなどの費用
  • ショーウインドーの陳列装飾のための費用

引用:広告宣伝費

フリーランスエンジニアの場合、自身のポートフォリオを載せるサイトや自身の名刺の作成費用が挙げられます。また、作成に際して必要となる交通費なども経費となります。

消耗品費用

消耗品費用も経費として計上できます。消耗品は次のものが該当します。

  • 帳簿、文房具、用紙、包装紙、ガソリンなどの消耗品購入費
  • 使用可能期間が1年未満か取得価額が10万円未満の什器備品の購入費

引用:消耗品費

購入金額が10万円以上、もしくは試用期間が1年以上になると減価償却の対象となるため注意が必要です。

外注費

外注費も経費として計上できます。フリーランスエンジニアの外注費が発生するケースとして次のものがあげられます。

  • 外部のエンジニアやデザイナーに仕事を依頼するケース
  • 仕事場の清掃をクリーニング業者に依頼するケース

ただし、外注費が給与と判断された場合、社会保険の負担や源泉徴収の義務が発生します。外注費が給与と判断されるか否かの基準は次のとおりです。

  • (1)その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容れるかどうか。
  • (2)役務の提供に当たり事業者の指揮監督を受けるかどうか。
  • (3)まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失した場合等においても、当該個人が権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をなすことができるかどうか。
  • (4)役務の提供に係る材料又は用具等を供与されているかどうか。

引用:第1節 個人事業者の納税義務

上記を要約すると次のとおりになります。

項目 外注費 給与
(1) 代替可能な内容なら外注費 代替不可能な内容なら給与
(2) 受注者が外注者の指揮監督を受けないなら外注費 受注者が外注者の指揮監督を受けるなら給与
(3) 業務遂行や納品ができない場合に報酬を請求できないなら外注費 業務遂行や納品ができない場合に報酬を請求できるなら給与
(4) 業務にあたって必要な用具やシステムを報酬支払者によって提供されていないなら外注費 業務にあたって必要な用具やシステムを報酬支払者によって提供されているなら給与

フリーランス歴が浅い人は判断が難しいため、税理士などに相談すると良いでしょう。

交際費

交際費も経費として計上できます。交際費の例を次にあげました。

  • クライアントとの接待費
  • 下請けエンジニアとの食事にかかる費用
  • 取引先へ送るお中元やお歳暮の費用

法人税は交際費に上限がありますが、個人事業主に上限はありません。ただし交際費が多すぎると税務調査の対象になる可能性があるため注意が必要です。

また、1人あたり5,000円を下回る会食費は経費となりません。

諸会費

諸会費も経費として計上できます。諸会費とは次のような団体へ支払う費用です。

  • 商工会議所
  • 中小企業協同組合
  • 職能団体自治会
  • 青色申告会

諸会費をわかりやすく言い換えると、業務を行うにあたって支払わなければいけない費用です。例えば青色申告会への入会金や月額費用はフリーランスとして活動するために支払っている費用のため諸会費となります。

年会費のように一度の支払いで1年間以上の効果のある費用は繰延資産となり、5年かけて減価償却します。

ただし、金額が20万円未満の場合は全額経費として計上可能です。

参考:同業者団体等の加入金と会費の取扱い

交通費

交通費も経費として計上できます。タクシー代や電車代、飛行機代、駐車場代などが該当します。

例えば、クライアントとの打ち合わせのために東京から横浜へタクシーで移動した場合のタクシー代は全額経費となります。

交通費はプライベートの交通費と仕事に関する交通費の区別が必要です。また、領収書が出ない費用は出金伝票を記載して保管しておくと良いでしょう。

租税公課

租税公課も経費として計上できます。租税公課は国や地方に納める税金や公共団体へ支払う費用などです。次の表に例をあげました。

租税 公課
事業税、固定資産税、自動車税、不動産取得税、登録免許税、印紙税などの税金 商工会議所、商工会、協同組合、同業者組合、商店会などの会費、組合費又は賦課金

参照:租税公課

また、固定資産税や自動車税など仕事とプライベートの両方で使用している項目は按分が必要です。

フリーランスエンジニアが経費にできない4つの費用

ここからは、フリーランスエンジニアが経費にできない費用を4つにまとめて紹介します。

税金

税金は経費として計上できません。ここで言う税金とは個人で支払う次のような税金が挙げられます。

  • 所得税
  • 住民税
  • 相続税
  • 贈与税

一方で、事業を行う上で発生する次の税金は、租税公課として経費として計上できます。

  • 個人事業税
  • 固定資産税
  • 自動車税
  • 不動産取得税

借金

借金や借り入れは経費として計上できません。借金を経費に計上した場合、次のような「二重計上」になるためです。

項目 実際の支払い
事業用車のローン支払い5万円
事業用車購入のための借り入れ5万円
事業用車のローン支払い5万円
10万円 5万円

その他、車のローンや住宅ローン、奨学金などプライベートの借り入れも経費の対象外です。ただし、借金返済の利息は経費として計上できます。

健康診断費用

健康診断費用も経費として計上できません。

健康診断は病気や怪我の治療ではないため経費の対象外です。ただし、健康診断の結果、病気や疾患などが発見され必要となる治療費は経費となります。

また、雇用している従業員の健康診断費用を負担する場合は経費として計上できます。

参考:人間ドック・健康診断等の費用

プライベート費用

プライベートの費用は経費として計上できません。例として友人や家族との食事代、外出にかかった費用などが挙げられます。

また、保育料や学費など家族にかかる費用も経費として計上できません。経費になるか迷う場合は、業務を行う上で必要な費用かで判断すると良いでしょう。

フリーランスエンジニアが経費計上する際のポイント3つ

フリーランスの場合、交際費や交通費など経費として計上できるか曖昧な費用も多いです。そのため、できるだけ経費として計上するには様々な工夫が必要となります。

そこで、最後にフリーランスエンジニアが経費計上する際のポイントを3つにまとめて紹介します。

レシートはこまめに保管しておく

経費として認められるためにはレシートをこまめに保管しておきましょう。

消耗品のような購入金額が小さいレシートを保管する習慣がない人も多いです。しかし、1年間で合計すると大きな費用となる場合もあります。

その際レシートがなければ、何の目的で支払った費用か証明することができません。このようなケースでレシートが役に立つため、こまめに保管することが大事です。

レシートが見つからない場合は、クレジットカードの利用明細や出金伝票、振り込み明細、通帳などを代用すると良いでしょう。

費用が出るたびに帳簿へ記入する

費用が出るたびに帳簿へ記入することも大切です。売上の申告漏れや経費の計上漏れをなくしたり、お金の動きを把握したりするために帳簿を記入しておくと良いでしょう。

国税庁では次のような帳簿が推奨されています。


出典:帳簿の記帳のしかた

また、帳簿へ記入する際は、関連するレシートや領収書なども合わせて保管するのがおすすめです。

むやみに経費を計上しない

3つ目はむやみに経費計上しない点です。

フリーランスエンジニアの経費率の目安である50%を大幅に上回ると、過剰な経費計上をしているとして怪しまれる可能性があります。

過剰な経費計上は所得の過少申告とみなされ、追徴課税にも繋がります。あらかじめ経費にできるものを把握し、むやみに経費計上しないようにしましょう。

まとめ

今回はフリーランスエンジニアの経費について解説しました。

フリーランスエンジニアの経費率は約50%であり、他業種よりも少ない傾向にあります。

ただし、仕事に必要なものは経費計上できるため、正しい知識をもって適切な経費の計上を心がけていきましょう。